精神科医の中にも、いろんな考え方があります。医師には、症状がある限りは病人(病気)としてみるという態度が、ある程度は要請されると思います。しかし、病気とみなして事足れりとするという態度も誤りではないかと私は思います。ゆううつや不安は生きていく上で必要な糧であり、人はそれらをどう乗り越えるかを通じて、人生を選択していくものだと思います。ゆううつや不安は、いたずらに病的なものと見るべきではなく、むしろある程度それらを経験し、耐え、意志力で乗り越えようとすることこそ、人間的な態度であると言えると思います。精神科医として最近感じることは、人々がゆううつや不安、イライラなどの都合の悪い感情を、異物として外在化、つまり外からくるものとしてとらえる傾向が強くなっているということです。