Fさんが盗難にあったのである。その時の事情を、後で作文のレポートに書いたFさん自身の文章で語ってもらおう。あの、通信での初めてのテストの時、どうしてあんなに、自分でも信じられないくらい、アガッてしまったのだろうと思う。最初受けた現代社会などは、問題を読むのに、目は字を追っているんだけれど、気持ちが上気しているため、意味を把握できなくて、何度も同じところばかりの字を追っている自分が、いらだたしくてたまらなかった。そのうちに、残り時間が少なくなり、考えるひまもなく、鉛筆を持つ手に汗をにじませながら、ばたばたと書いているのだが、手までが震えてきて、「あー、どうしよう。きっと良い点がとれない。子どもたちが何と言うだろうか」という気持ちが脳裏をかすめた。