2006年11月13日月曜日、午前7時半。京都府向日市の会議室にハウスドゥの幹部たちが集まっている。「じゃあ、始めようか」社長の背後から晩秋の弱い光が差し込んでいる。10名ほどの役職員と、直営7店舗の店長らが左右、正面後方に陣取り、真剣なまなざしで書類を見ている。午前7時半から店長会議、引き続き9時から役員会議が行われる。ハウスドゥの一週間が始まった。ハウスドゥは中古住宅の売買仲介とリフォーム、買取事業を主力とする京都府の不動産ベンチャー企業である。
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「のんびりとやっている」イメージのある地方都市の不動産会社が、こんなに早くから活動していることを誰が知ろう。京都駅からJRで大阪方面へ向かって三つ目が向日町駅である。向日市は人口5万5000人の小さな町だが、京都と大阪という2大都市のベッドタウンとして人気がある。ハウスドゥは京都市の中心街に本社を置くが、毎週月曜日の会議はここで行われる。「本社は車が不便なので。それにここが創業地なのですよ」と社員はその理由を語るが、この小さな町に早朝、幹部が集まること自体が、初心を忘れずという社長のメッセージでもあるように感じる。店長たちは20代、役職員は30代が中心である。店長会議は各店舗の店長が持ち回りで議長を務め、よい取引の事例、クレームの事例、効果のあった広告などを報告し合う場である。早朝に始めるのは通常業務に支障をきたさないためだ。これだけでハウスドゥがどういう会社か想像がつくだろう。店長会議の終わりに、総務人事部長からストックオプションの説明があった。「これは役職員のみなさんが、あらかじめ決められた価格で株を買うことができるというものです。みんなががんばって株価が上がったら利益が出ます。仮に株価が上かっていなければ利益はでません。買う買わないは自由です。権利は上場して2年たってから行使できます。ここが重要なところなのですが……」総務人事部長の説明を受けて、正面の社長が口を開く。一応、来年にもストックオプションをやろうと思うので、まあ、がんばってもらって……」社長は立て板に水のごとく話して、現場を仕切るというタイプではない。口数は少ない方で、遠慮がちですらあるが、会議室には緊張感がみなぎっている。午前9時過ぎ、店長たちが退出。足早にそれぞれの持ち場へと向かうと、後ろに控えていた役職員たちが会議テーブルにつく。