現実の損害を賠償する

2011-12-13

休業損害や逸失利益の算定にあたって、収入額が不明の場合に賃金センサスがよく用いられます。現実の収入額が賃金センサスより低いときに、賃金センサスで算定した金額を休業損害とできないか問題となります。休業損害は現実の損害を賠償する性格のものであるのに対して、逸失利益は将来の収入減を現在において予測するものですから、蓋然性に基づいて算定せざるをえません。そのため逸失利益の算定にあたっては、将来の収入の変動を想定すると、平均値である輿金センサスを基礎とするのが相当であるのです。しかし、現実の損害を対象とする休業被害では、現実の収入が判明しているのに、これよりも多額の賃金センサスを基礎にすることは妥当ではありません。休業日数にしても、入通院期間が当然休業期間となるわけではありません。入院期間は病院に入ったままですから、その全期間を休業したとみてよいでしょうが、通院期間はそのようには必ずしも考えられません。通院は必ずしも毎日するわけではありませんし、通院のため1日休むとも限りません。それでは通院実日数を休業日数とみるかというと、またそうとも限らないのです。たとえば、足の骨折の場合には、毎日通院するとも限らず、通院してない日は働いているとも言えないでしょう。