六月に入ると、夏期講習のお知らせがきた。六日間の集中コースで十八万円。それまでの月々四万六千円の月謝プラス二万円のベビーシッター代でさえも私たちには相当の負担だったが、なんとか貯金を切り崩してしのいできた。だが、いちどきに十八万円となると話はちがう。電機メーカー勤務の夫と小さな企業で働く私の夫婦二人合わせた給料手取りの三分の一。それに加えていつもの月謝とベビーシッター代がかかる。払えない金額ではないが、このあと受験料だの、もしかして入学金などと出費がかさむことを思えば、たった六日間に十八万を支払っていいものかどうか迷った。だが、夫はいちごんのもとに「払ってやりゃいいじゃないか。受験するにはそれ相応の費用がかかるものなんだよ」と事もなげに言った。夫の受験に対するスタンスは、けっして積極的ではないが「やると決めたのなら、できる範囲のことはすべてやるべきだ」である。そして十八万円の夏期講習は、彼にとっては「できる範囲」になっているらしい。
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