年功賃金は急速な経済成長の下に定着した通念

2011-10-31

大都市や工業地帯を中心に急激に労働需要が拡大していったため、全国各地から若い労働力が陸続と大都市や工業地域に流入した。これは急速に成長する企業の熱心な採用活動の結果でもあった。企業人事・労務担当者の仕事は、それまでのような解雇や労働争議の調整は過去の話となり、もっぱら労働力の確保に集中する事になった。こうした状況が高度成長の下で持続されたために、人々は企業に入れば長期に雇用が保障されるのは当然と思うようになった。労働力確保に懸命になっている企業には人員整理や雇用調整など考えるヒマもなかったからである。いわゆる終身雇用の社会的通念はこうした状況の中で生まれ、日本中にひろまったのである。また、このような急速な経済成長の下では、企業の生産性も年々高まり、収益も増えた。それは当然労働者の賃金にも反映する。労働者はそうした状況の中で、賃金が年々増加するのは当たり前と考えるようになった。勤続年数とともに賃金が上昇する年功賃金はこうして日本の産業界全体にひろまり、定着するようになった。また、年々賃金のベースを上げるいわゆるベース・アップもこの時期に産業界全体に普及したのである。このように、終身雇用や年功賃金と呼ばれるような日本的な雇用慣行は高度成長時代の急速な経済成長が背景となりまたテコとなって、大企業だけでなく中堅企業や一部の中小企業にまでひろがり、日本の社仝にひとつの通念として定着したのである。

[参考サイト]
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